はじめに

このページは、「イラスト集・おはようお姉さん」の企画を立ち上げてから販売開始するまでの3ヶ月間、私がおこなったことの記録です。
「本を作る前の自分が見て、参考になるページになればいいな」と思い、作りました。

なお、作者は「本作りをメインで仕切るのは今回が初めてである」という点はご理解ください。
これは、

  • 「やる気とある程度の先立つものがあれば、同人誌は作れるよ」
  • 「コミケ出展などで手慣れた人は、このページ製作者より多くの情報をもっていると思われるよ」
という、ふたつの意味を込めています。

また、印刷所、委託先、それに時期が異なれば、状況も変わってきます。印刷所や委託先など確認できる先がある場合は、わからないことは電話・メールをすることをお勧めします。(私も幾度かわからない点は問い合わせ、丁寧に対応していただけました)

それでは改めまして。
「イラスト本を作ったことないけど作ってみたい!」といった方の参考になれば幸いです。


スケジュール

本づくりで一番わからなかったのが、「どのタイミングで何をすればいいのだろう?」でした。

このページは「何時、何をやったか」についてまとめました。
「この本の作者が、どんな作業をどの程度の時間でやったか」の参考になるかなと思います。
振り返って思うのは以下です。

  • ゲスト様との調整・質疑応答・原稿受渡を除き、同時並列作業は少ない(順に漏れなくこなせばよい)
  • 〆切は、編集作業・印刷手配・委託手配を各1~2週間とみて逆算し、バッファを加味して設定すればいい
(なお、作者的には「えいちぜろなさんに相談のメールを送る」「自キャラの誕生日祝いをする」「やきもきする」「原稿が思うように進まず誰もいない暗闇に向けて呻く」という工程を経ていますが割愛します)

ざっと振り返ると。
事前準備の一か月は、まだ印刷所・委託先はおろか、ゲスト様も形態も、何もかも手探りだったことによります。
原稿作業は一か月。ゲスト様の期間としては十分と言っていただけました。私は10数ページを描きましたが、色々と手馴れていないこともあり、タイトでした。
編集作業は約一週間、最終調整は一日でやりきりました。こちらも手馴れていないことによる大変さがありました。1日以上はかかる印象です。
印刷手配・委託手配は一週間となっていますが、実際の作業は発注や納品作業と一日で終わり、あとは待つ時間がほとんどです。


作業履歴

  • 2012.05.04
    • 計画作成、始動
  • 2012.05.13
    • 印刷所、委託先決定
    • 印刷所に、資料請求
  • 2012.05.21
    • 原稿説明ページ作成
    • 無料サンプル出力依頼
  • 2012.05.21
    • ゲスト様へのお誘いメール送付

  • 2012.06.01
    • 原稿に本格着手
  • 2012.06.03
    • 小説作業進め方とりまとめ
  • 2012.06.09
    • あとがき詳細説明追加
  • 2012.06.23
    • ハイクおはようお絵描きお休み、原稿作成に集中
  • 2012.06.29
    • 小説挿絵完成

  • 2012.07.01
    • 原稿〆切
    • ゲスト様原稿受取完了
    • 原稿完成
  • 2012.07.02~2012.07.06
    • 編集作業
  • 2012.07.07
    • 印刷所へ、原稿郵送(印刷所〆切は2012.07.13だったので、少し早めの郵送になった)
  • 2012.07.13
    • 印刷所〆切
  • 2012.07.18
    • COMIC ZINへ、委託手配 (サークル登録、アイテム登録)
  • 2012.07.20
    • COMIC ZINから、発注依頼受取
  • 2012.07.21
    • 印刷所から、完成本受取
  • 2012.07.22
    • 納品用道具購入
    • COMIC ZINへ、納品物郵送
    • ゲスト様に完成御報告
  • 2012.07.30
    • COMIC ZIN様サイトにて公開
    • 自アカウントにて販売告知(はてなハイク, twitter)

  • 2012.08.01
    • twitter @ohayougirlにて販売告知
  • 2012.08.05
    • ゲスト様へのお渡し完了


事前準備

事前準備として、以下をおこないました。

  • 本の形態の決定
  • 原稿依頼するゲスト様の決定、ご依頼
  • 日程の決定
  • 印刷所の決定、印刷所資料取り寄せ
  • 委託先の決定

本の形態

「B5 28P オンデマンド印刷 フルカラー」としました。(後に「32P フルカラー」に変更されます)
私自身がカラーの本に仕上げたかったのが強い理由で、オンデマンド印刷であればモノクロより高いとはいえ手の出せる選択だったことが後押ししました。 (通常の同人誌はオフセット印刷とオンデマンド印刷があり、オフセット印刷のフルカラーは高額です)
印刷所は、この「オンデマンド印刷 フルカラー」を基準に決めました。

また、私の場合、ページ構成と詰め込むコンテンツも、仮決めしました。これは、後の編集作業の負担を減らしてくれたと思います。


原稿依頼するゲスト様

ページ数を無尽蔵に増やせない、そしてあくまで自身が主導する本であるためページ割合として半分以上は担当したい。
そういった本の構成上の要因。
それとともに初の同人誌取り仕切りという実務面での不安という要因。
それらを考えあわせ、依頼人数は9人としました。

また、ゲスト様御依頼の際には、「原稿」ページを事前に準備し、依頼内容が正しく伝わるようにしました。
(内容は「原稿」ページを参照)


日程

発表を2012.07の中旬~下旬と決めていたので、そこを起点に

  • 委託手配 1週間
  • 印刷手配 1週間
  • 編集作業 1週間

を見ました。
また、コミケ等の大型イベントの際は印刷所が混雑します。 つまり、「7月半ば~8月は避けるべき」となります。
よって、印刷手配開始を7月上旬とするため、〆切は2012.07.01に設定しました。


印刷所の決定、印刷所資料取り寄せ

自身の条件と値段や立地で印刷所を決定します。 今回、私はPrinteq様を利用しました。 印刷所は、必ず資料を用意してますので、取り寄せましょう。 大事なことがたくさん書いてあります。


委託先

「委託手配」のページで説明します。


このページでは、ゲスト様に向けて公開した「原稿依頼」のページを、ほぼそのまま掲載します。
自身の原稿も、ここに記載された内容にそって作成していきました。
ちなみに、このページは以下から大いに引用させていただきました。感謝!

注意点(と、あとから思ったこと)

印刷所資料
印刷所資料は、約束事が書かれていますので、一度熟読が良いと思います。
CMYKモード
私が見る限り、すべての印刷所で、カラー原稿には「CMYKモード」が必要でした。 
CMYKモードは、例えばSAIなどではサポートしてないモードなので、注意が必要です。
原稿サイズ
私が発注した印刷所は「原稿の中心を基点に端を切る」というもので、印刷所が取り決める原稿サイズより大きい分には問題ありませんでした。 この辺りは印刷所により異なるようですので、印刷所資料を確認しましょう。
指定テンプレートの統一
原稿用紙テンプレートの種類を一つに絞ったほうが、編集作業は楽そうに感じました。 (あまり強制すべきではないでしょうが)

原稿

概要

  • 「おはようお姉さん」をテーマにしたイラスト集
  • フルカラー B5 28P(予定)
  • クローズドな製作(ゲストは個別にお願いします)
  • 委託販売(即売会には出展しません)
  • 全年齢向(一応書いてみる)

フォーマット

フルカラーB5 28P(予定)

構成(予定)
項目 ページ数
表紙 4ページ
目次 1ページ
メイン(gedan絵 + ゲスト様絵 + etc.) 20ページ (状況により増減有)
あとがき 3ページ

予定

日付 内容
2012.07.01(日) 原稿〆切
2012.07.13(金) 発注
2012.07.21(土)~ 委託手配(受取次第、委託手配、委託準備でき次第、ハイクで通知)

販売方法

委託販売を予定。


依頼要項

形態
  • 原稿: フルカラー1ページ
    • 1枚絵のカラー原稿をお願いしたいです。
    • 他の形式(漫画 等)をご希望の際は、相談させてください。
    • 詳細は後述
  • あとがき: フルカラー
データ原稿
名前 内容
キャンバスサイズ 188mm X 463mm
カラーモードと解像度 350dpi
仕上がり(外枠)サイズ 184mm X 457mm(B5)
基本枠(内枠)サイズ 149mm X 419mm
塗り足し幅 5mm
ファイル形式 PSD
カラーモード CMYK
レイヤー 全て結合

もしCMYK形式に変換出来ない場合、ご連絡下さい。
私の手元でCMYK変換かけられますので。
(ただ、RGB→CMYKの変換で色味がだいぶと異なってくるようですので、その辺りは相談しながらという形になります)

〆切
  • 2012.07.01(日)
原稿受渡方法
参考: テンプレート

編集作業

編集作業として実施した作業は、以下です。

  • ページ構成決定
  • あとがきページ作成
  • 奥付作成
  • 目次作成
  • 原稿調整
  • DVD-R書き込み

順に説明します。


ページ構成決定

ゲスト様原稿も含めて、全体の構成を最終決定します。


あとがきページ作成

今回はゲスト様を多数お招きしての本でしたので、1ページ4人分のあとがきページとしました。 作業は以下です。

  • ゲスト様あとがき画像合成
  • ID(P.N.)記入

ID(P.N.)については、フォントの統一をはかりたかったので私が記入しました。


奥付作成

本の最後のページある、あれです。あのページを作成します。 「発行元サークル名、発行者名、発行日、印刷所、連絡先」 などを記載しました。 また、「スペシャルサンクス」や「使用フォント」なども、あわせて記載しました。

参考: 奥付/ 同人用語の基礎知識


目次作成

最終決定した構成をもとに、目次を作成します。


原稿調整

受け取ったゲスト様原稿も含めた調整です。 私は以下作業を施しました。

  • 最終チェック
    • CMYKモード
    • 原稿サイズ
    • レイヤー統合
  • ノンブルふり
  • eps形式で保存

ノンブルは原稿のページ数で、印刷所資料に詳しく書かれています。 印刷所はこれをたよりに製本するので、必ず入れるようにとのことです。


DVD-R書き込み

調整した原稿全てを、DVD-Rに書き込みます。 形式は、これまた印刷所資料を参照です。


印刷手配

印刷手配について。

  • 資料確認
    • 印刷所毎に資料が用意されています、それぞれルールが若干異なるようです。(大きくは違わないでしょうが)
    • 必ず取り寄せて、一度、目を通すべきです。
  • 発注〆切から1週間で発送(先着順)
    • 私が依頼した印刷所では金曜日〆切と決められており、翌金曜もしくは土曜が納品でした。
  • 事前の申し入れがなくとも、原稿完成後の手配で問題ありませんでした。
  • コミケ時期は避けるべき(7月後半~8月)
    • コミケ時期は忙しくなるため、避けられるなら避けるべきです。
    • 印刷所のページにも、大規模イベント時の特別スケジュールが掲載されます。
  • 見本誌(誤った製本を防ぐために)
    • 提供形態が郵送の場合、焼きこんだDVD-Rと見本誌が必要でした。
    • 印刷イメージを伝えるのに必要なようです。

委託手配

今回私はCOMIC ZIN様に委託販売をお願いしました。 理由としては、「少部数・マイナーでも取り扱っていただける」と聞いていたからです。
(実際に出くわしたわけではありませんが、少部数同人誌の場合、委託を断られるケースがあると、お聞きしています)


COMIC ZIN様での委託

2012.07.18にサークル登録、アイテム登録。
2日後には発注依頼があり、2012.07.22には納品しました。
(納品物に見本試用の本一部追加という形で発送)

実際には2012.07.26の時点で販売可能状態となっていたようですので、4日で処理していただいたことになります。
(実際の販売は2012.07.30にしていただきました)

なので、現段階では委託手配は1週間と考えています。

詳細は、一度COMIC ZIN様のサイトを一通り読み進めることをおすすめします。

サークルページ ( 委託案内:同人委託の流れ ) - COMIC ZIN -


価格

価格付けをしたことがないものにとって悩みの種ですが、実際は人それぞれのようで。コスト的に見合う値付け、赤字覚悟で値段をおさえる、最終的にはその人の気持ち次第となります。(私は同様の形式の同人誌の値段を調べ、あとはコスト等を見て、決めました)


納品方法

段ボールに緩衝材を詰めて郵送、となります。 段ボールと緩衝材、およびガムテープは、東急ハンズで買い求めました。 なお、納品時には納品書が必要です。


他の委託候補

COMIC ZIN様以外でも委託を取り扱っている会社はありますので、紹介します。 (私は、利用したことがない点、ご留意ください)


おわりに

つらつら文を重ねましたが、あくまで手探りで進めて本に仕上げた結果をまとめたもの、ウェブにあるほかの同人誌制作のページとあわせ、参考になればいいなと思います。

まとめてみると項目としては少ないですが、制作途中はわからないことだらけで色々不安でした。

そんな中、えいちぜろなさんには的確で詳細なアドバイスをいただきました。
dj_redさんと背景色さんにはコーヒーメーカと素敵な水彩画をいただいて、激励されました。
ゲスト様はかなり早い段階から原稿仕上げてくださる方が多く、受け取るたびに励まされる思いでした。

それに、できあがった後、ゲスト様、お買い上げくださった皆様から、「良かったよー」と言ってもらえるのは、本当にうれしいことです。
自分の意志で始めたこととはいえ、作り上げてよかったなと本当に思ったのは、むしろそういった声が聞こえたときかもしれないです。

一方で、自分としては「もうちょっとやりようがあったかなー」というのが、原稿制作や段取りにはあります。
全力出した上でそう思うので、それらは反省材料にしたいところ。

そんなところで。
色々ありましたが、それに見合う色々なものを受け取ることができた本作りでした。

このページが「本を作ってみたい!」と思う人の背中を押すことができたらいいなと思います。


2012.08.12
戯檀(OhayouGirlProject)


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